冷却システムは、食品、飲料、製薬、電子部品製造など多くの産業工場において重要な役割を果たしています。予防保全（PM）は、システム効率の維持、重大故障のリスク低減、装置寿命の延長に不可欠です。本記事では、機器点検、凝縮器、蒸発器、制御盤のチェックから、Service Report や関連ドキュメントの作成まで、冷却システムの PM 計画手順を詳しく説明します。

冷却システムにおける予防保全（PM）の重要性

1. 生産停止リスクの軽減－冷却システムの故障は生産ラインの停止につながり、企業に重大な損失をもたらします。
2. コスト節約－故障時の修理よりも、予防保全の方が一般的に費用対効果が高いです。
3. 稼働効率の向上－定期的にメンテナンスされたシステムは省エネで、高い効率を維持します。
4. 機器寿命の延長－定期的なケアにより装置の寿命が延びます。
5. 製品品質の維持－適切な温度管理ができる冷却システムは、製品品質を保ちます。

冷却システム PM のステップ

1. 機器点検

機器点検は、冷却システムのメンテナンスにおいて最初の重要なステップであり、以下の内容を含みます：

コンプレッサーチェック

稼働中の電流を測定・記録し、メーカー標準と比較する；潤滑油の量と品質を点検；異常な音や振動を確認；吸込側と吐出側の圧力を測定し、適正範囲内か確認。

配管およびバルブの点検

リーク検知剤またはガスリーク検知器を用い、冷媒漏れ箇所を特定；配管保護材の状態を確認し、損傷部を修理または交換；膨張弁や逆止弁などの弁の動作確認。

冷媒チェック

冷媒量が十分か確認するとともに、冷媒中の水分や不純物の有無を調べ、システム効率への影響を防ぎます。

2. 凝縮器の点検

凝縮器（コンデンサー）はシステムの熱を放散する役割を持ち、適切なメンテナンスにより冷却効率と省エネ性が向上します。

コイルの洗浄

専用クリーナーを使用してコイルに噴霧し、中〜低圧の水でホコリや汚れを洗い流します。フィンを曲げないよう注意し、専用ブラシでフィン部分を清掃します。

ファンの点検

ファンモーターの電流測定と異音の確認；羽根の損傷・汚れ・摩耗確認；ベアリングに異音や振動があれば交換が必要。

構造体の点検

腐食や錆がないか点検し、清掃と防錆塗装を行います。さらに、ベースおよび取り付け部の安定性を確認し、凝縮器の安全性を確保します。

3. 蒸発器の点検

蒸発器（エバポレーター）は熱を吸収する部分であり、適切なメンテナンスにより熱交換効率が最大化されます。

コイルの清掃

ソフトブラシまたは掃除機でほこりを除去し、適切なクリーナーで洗浄。洗浄後には風乾し、消毒剤を用いてカビ、細菌や微生物の繁殖を防ぎます。

排水の確認

汚水パンの清掃や排水管の詰まり防止、必要に応じて排水ポンプの点検と清掃を行います。

冷風ファンの点検

冷風用ファンモーターの電流測定と異音確認；羽根の損傷や汚れの清掃；メーカー指示に従った軸受部の潤滑。

4. 制御盤の点検

制御盤は制冷システムの司令塔であり、定期的な点検とメンテナンスにより、安全かつ安定した稼働を確保します。

電気保護装置の点検

ブレーカー、ヒューズの状態と容量、過負荷リレーの設定・機能を確認します。これらは電気安全に直結します。

制御システムの点検

サーモスタットの動作と精度、タイマーの設定と動作、および各種自動制御機能の動作確認を行います。

電気接続の確認

接触点の摩耗を点検し必要であれば交換；緩い接続は締め直し；ケーブル絶縁破損があれば交換します。

5. Service Report の作成

Service Report は PM プロセスにおいて重要な文書で、メンテナンス履歴の追跡や将来計画に役立ちます。